マンションの価格決定のしくみと内訳をご存じでしょうか。この話は、前著『絶対失敗しないマンションの選び方・買い方』にも書きましたが、当時よりも、物件の価格や業者の利益は低くなっています(もちろん、これは一般的な傾向としての話です)。また、これからの動きにも触れていますので、重複しますが目を通しておいてください。まず初めに、マンションが分譲されるまでの流れをみてみましょう。順に、①土地の仕入れ、②近隣問題の解決、③建築確認申請・認可、④着工、⑤分譲、⑥竣工、⑦引き渡しおよび入居、となります。このうち、①の土地の仕入れから⑤の分譲までの期間は、約六か月から九か月。つまり、いま分譲しているマンション価格のうち、土地代は六か月から九か月前の価格になっているわけです。
■まず、物件の平均坪単価を決める次に、一棟のマンションの値段はどうやって決められるのかをお教えしましょう。一般の買い主がマンション価格を総額で判断するのとは違い、デベロッパーは「坪単価(総額をその部屋の専有面積の坪数で除した金額ごを基本に考えます。まず、近隣で今後分譲される物件の予想平均坪単価や、過去に売り出された物件の平均坪単価とその売れ行きから判断して、販売しようとする物件の平均坪単価を決定します。あとは各住戸の特徴によって価格にプラスマイナスをつけて調整していきます。階が上がるごとに三○万円アップ、角部屋ならば二○○万円アップ、一階はマイナス五○万円だけれど専用庭があるからマイナス二○万円で抑えよう、などとやるわけです。デベロッパーにとって望ましい値付けは、平均坪単価はできるだけ高く、なおかつすみやかに売れること。全住戸申込み倍率が一倍で即日完売が理想です。高すぎて売れ残ったらもちろん失敗。複数倍率で即日完売したのなら、それは安すぎたということなので、やはり失敗。この場合、もっと高くしても売れたはずなのです。
■原価八割、販売費用と利益が一割ずつでは、それぞれの価格の内訳はどうなっているのでしょうか。ここでは、一九九八年に江東区で実際に分譲されたマンションの二戸を例にとります。住戸の専有面積は七二㎡(二一・七八坪)で、価格の総額は三七五○万円(消費税別)です。そのうち土地代は一三○九万円(三四・九%)、建築費が一六七六万円(四四・七%)、ほかに近隣問題解決費用他五六万円(一・五%)、広告費用と販売会社手数料で三一五万円(八・四%)、デベロッパーの利益が三九四万円(一○・五%)でした。金利は土地代、建築費それぞれに含めて計算してあります。ただしこれはあくまで一例。都心に近づくほど土地代の占める割合が高くなります。しかし、だいたいのデベロッパーは価格の中に広告費用(四%)、販売会社手数料(媒介で三%、代理で四・五%程度)、デベロッパー利益(約一○%)を見込んでおり、これはほとんど変わりません。ちなみに、販売会社が販売活動だけをするのが媒介、契約行為まで行なうのが代理。販売会社を入れないでデベロッパー自ら販売することもありますが、その場合には販売会社に支払う手数料がない分、利益を多くとるだけのこと。つまりマンションの原価はおおむね八○%、これに販売費用が一○%、利益一○%という内訳はほぼ共通しています。ただ私は、今後はマンションの価格もデベロッパーの一方的な値付けに従う時代から、徐々にオープン価格や、デベロッパーと客とが直接交渉する相対取引に移行していくのではないかと思っています。ですから、これからは買い主側からの「この値段なら買う」といった交渉力も必要になってくるだろうと考えています。